2019.Jan. 13
キャノンデールの多くのバイクに採用されている「BB30」。
フレームにベアリングを直接圧入して運用するボトムブラケットの規格です。何が30かと言うとベアリングの内径、あるいはクランクの軸が30ミリというところからです。
クランク軸が太く、構造が単純なので剛性が高く軽量になります。ただ、皆様気になさるのが「音鳴り」。金属同士が接触しフレームと共振することで高トルクで踏み込んだ際に音が鳴ることがあります。実際に数年前のモデルにおいてなかなかの頻度で音鳴りが発生していましたが、フレーム精度やパーツの公差など、あらゆる角度からリファインが繰り返され圧倒的になくなりました。しかし正しい手順でメンテナンスがなされていなかったり、長期間メンテナンスがなされていない場合起こってしまうこともございます。
オーバーホールにてお預かりさせていただいたバイク。今回はSiクランクで作業しました。左右クランクアームと軸であるスピンドルの3ピースの構造となります。
クランクは専用工具を用いて外します。お取り寄せにはなりますがこちらもご購入いただけます。
クランクを外した状態。フレームにダメージが加わらないようスピンドルも優しく外します。
ちょうど1年間コンスタントにお乗りいただいた車体、綺麗に乗っていただいているのですがBB周辺は普段メンテナンスをするのは難しい箇所。どうしても汚れていますね。音鳴りの症状は出ていませんがこれからもしっかり乗られる・日常的にライドされている方ということで、ベアリング・スピンドル共に交換いたします。
フレーム側を洗浄後、新しいベアリングへと交換しました。キャノンデール純正のベアリングです。
左が今回外したスピンドル、右が新品です。スピンドルとベアリングが接触する部分に傷がついています。軸を受ける部分が汚れて異物混入していたり力が加わりベアリング内側とスピンドルが接触することを繰り返し傷が付き、この傷が原因で音が鳴ることがあります。ちなみにこのパターンが最も多い原因です。消耗品だと考えていただき傷がついているものは交換しましょう。現行のスピンドルは表面にアルマイトの加工が施され、耐久性が向上しています。
ベアリングとの接触面にはWAKOS ブレーキプロテクターを塗布し、ベアリング・フレームにダメージの無いよう挿入します。
今回はオーバーホールでお預かりした車体ですのでベアリング交換までやらせていただきました。新車をご購入いただいた際に納車整備をしていますが、スピンドルを外しブレーキプロテクターの塗布まですべての車体で行っております。納車後1年以内にBBが原因の音鳴りの症状が出ることはほぼありません。
ただ、雨天走行が多い方や走行距離を重ねている方、他にも海岸沿いを走られて砂だらけになっている方などなどメンテナンスの頻度は高くなります。拝見させていただければ洗浄・グリスアップだけでいいのか、スピンドルは交換するべきなのか、バイクの状態によりご案内させていただきます。軸周りだけでもメンテナンスしておくとバイクの寿命が圧倒的に変わります。基本的にスピンドル&ベアリングは常時在庫を心がけておりますので、気になることがございましたらいつでもお気軽にご相談下さい。
春からのオンシーズンに向けて冬の間にメンテナンスは済ませておきましょう!