2021.Feb. 8
最近車体の紹介記事しか書いていなかったので、たまには目線を変えてメカニック的なことでも。
本日ご紹介したいのはキャノンデールのスルーアクスルについて。
ちょっとマニアックな話になりますがお付き合いいただければ幸いです。
いきなりですがこの二つのディレイラーハンガー、違いがわかりますか?
左はアルミのTopstoneやCAAD Xなどに使われている「K33049」、右はCAAD13 DiscやEVO、Topstone Carbon他に使われる「K33009」というハンガーです。
この二つ、形状は全く同じです。しかし品番が違う以上何か違いがあるはず。
その答えは部品に刻印されているシングルリードとダブルリードというキーワードにあります。
左がシングルリードのスルーアクスル、右がダブルリードのスルーアクスルです。
よーく見比べて下さい。ネジ山の角度が微妙に違いませんか?
そう、右の方が角度がついていて、ネジを一回転させた時に進む距離がより多いんです。
そもそもダブルリードとは何なのか。
簡単に言うとネジ山のらせんが2条刻まれているネジのことです。このようなネジを多条ネジと呼びます。
一般には馴染みが無い特殊な規格かと思いきや、ペットボトルのフタなどは漏れなく多条ネジだったりします。
多条ネジのメリットは一回転させた時に進む距離が一条ネジのn倍になること。
つまりより少ない回転数で速やかにスルーアクスルを脱着できるということです。
そしてもう一つ、条が複数あるということはネジ山の入り口も複数あるということなのでネジ同士がかかり始めるのがより速くなります。
シングルリードではネジがかかり始めるのに最大360度回す必要がありますが、2条ネジではそれが180度で済むということですね。
ダブルリードのスルーアクスルはスピードリリース機構を搭載しているバイクに使われています。。
シングルリードよりも加工コストが高いダブルリードをわざわざ採用しているのは、スピードリリースの長所である「スピーディなホイール脱着」を更に高めるため。
いかにもキャノンデールらしいこだわりが感じられますね。
一方でシングルリードとダブルリードの違いを知っておかないと思わぬ落とし穴に遭うこともあります。
例えば社外品のスルーアクスルに交換する時など、ネジピッチと全長が同じでもリード数が違えば当然互換性はありません。
そしてダブルリード用のアクスルというのは非常に稀です。
この点ミノウラさんはさすがの商品構成で、ダボ穴のないバイクにキャリアを取り付けたり、キックスタンドを付けるための専用アクスルやローラー台用のアダプターなどにはダブルリード用の展開がしっかりあります。
担当の方とお話をする機会があったのですが、ほとんどキャノンデールユーザーのためにだけ用意したとのことでした。
頭が下がる思いだったのでローラー台用のアダプタは常時店頭に在庫する事にしました。
ニッチなアイテムを作ってくださってどうもありがとうございます。
そんなわけで一見地味なスルーアクスルにもこれだけの秘密が隠されていたというお話でした。
こういった小ネタは他にもたくさんありますので、機会があればお話ししたいと思います。
それでは!
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